歴史、戦争、クラウゼヴィッツ(Geschichte, Krieg, Clausewitz)

研究(歴史学、軍事史、クラウゼヴィッツ)のことを中心に更新していきます。

2018年度日本クラウゼヴィッツ学会特別講演会 「日本の安全保障とグローバル・コモンズの確保」

www.clausewitz-jp.com

半島情勢の流動化にともない、日本の安全保障の基盤も再度点検する必要性が出てきました。当学会では従来も月例研究会の中で折々時事的なテーマを取り上げ研究を深めてきましたが、クラウゼヴィッツの戦略論を学ぶ一環として、今年度から、年に一度外部の専門家をお招きして、特別講演会としてパネル・ディスカッション形式で勉強する機会を持つことに致しました。参加者の方々からの活発な質疑も歓迎致しますので皆さん奮ってご参加ください。
日本クラウゼヴィッツ学会特別講演会

日時:2018年6月30日(土)15時00分~17時00分(開場14時30分)
会場:文京学院大学S705教室(本郷キャンパス新S館7階)
(最寄駅:東京メトロ南北線東大前下車・改札前エレベーター搭乗・地上左側徒歩1分)
参加費ː会員/学生1000円一般1500円
申込先:日本クラウゼヴィッツ学会事務局kozuka.euro@nifty.com(090-1792-5864小塚)

※お申込に際しては、次の事項をご記入下さい。・名前・会員/非会員・メルアド・住所
プログラム:

(1)問題提起:「我が国が直面する安全保障上の課題」
山口昇先生(15時00分~15時10分)
(日本クラウゼヴィッツ学会会長・笹川平和財団参与)

(2)「極東ロシア軍の軍事動向」
講師:小泉悠先生(15時10分~15時40分)
(未来工学研究所研究員)

(3)「トランプ政権の迷走と日本に求められるインド・太平洋戦略」
講師:渡部恒雄先生(15時40分~16時10分)
笹川平和財団上席研究員)

~休憩10分~

(4)パネル討論:山口昇先生(モデレーター)他(16時20分~16時40分)

(5)質疑応答(16時40分〜17時00分)

2018年度前期教養ゼミナール/人文社会学ゼミでのイベント

中島ゼミ(2018年度)では、学生イベントを行います。お時間に余裕のあるかたはぜひご参加ください。

●「電大生と昔の遊び――竹とんぼ、メンコ、コマ、ミサンガと折り紙(仮)」(2018/6/22金曜、北坂戸にぎわいサロン二階、11:30-12:30)
●「地元の産物でお菓子を作ろう――ずんだ餅とホットプリン(仮)」(2018/6/29金曜、11:30-12:30)
●本年度も、北坂戸UR団地夏祭りに、学生の企画で参加予定。乞うご期待。

連絡先は、北坂戸にぎわいサロン 坂戸市溝端町1-4-106 電話番号 049-299-8082 月、水、金、土 10:00-18:00

北坂戸での読書会

北坂戸で4年前に始めた読書会「本で話そう、読書で話そう」も、今月で40回目を迎えます。最初は参加者もほとんどおらず、苦慮しておりましたが、いまは常連さんの協力もあり何とか継続できています。読書会の日時は毎月土曜日(第二から第四週のうちいずれか一回)の10:30-12:00に行っています。いつまで続くかわかりませんが、そのうちリニューアルしつつ、おいおいと継続していきたいと思っています。

〇次回読書会(第40回)は2018年6月23日(土曜)10:30-12:00 です。

参加費は無料です。ご自分の好きな本(複数可能)をお持ちください。本なら基本的になんでも可能です。2-3分で本の紹介をしていただいて、一巡したあとフリートークをします。参加希望の方は北坂戸にぎわいサロン受付(北坂戸駅西口:東京電機大学)までお申し込みください。

※手ぶらでの飛び入り参加、見学も可能です。
※参加者は毎回10名前後、常連さんも多く、年齢も20代(大学生)から80代まで、男性女性の比率も半々です。

北坂戸にぎわいサロン 坂戸市溝端町1-4-106 電話番号 049-299-8082 月、水、金、土 10:00-18:00

2018年6月

2018年度も始まって3か月が過ぎました。今年は例年に比べ講義数が増え、また講義時間が100分に伸びたこともあり、なかなか大変ですが、頑張っております。

毎年6月は研究時間を捻出することに苦慮する時期のようです。大学の講義準備もありますし、ちょっとした雑務は案外時間を取られます。若干でも研究をしようと少しずつメモを取ったり、アイデアを書き連ねたりしていますが、思うようにいかないところはつらいところです。大学構内で暗い表情をしているときは、おそらく研究について悩んでいるときかもしれません。

ただし、夏季休暇中にこうしたアイデアをきちんとした形でまとめていけるようにしておくことが大事ですので、今のうちにできるだけ下準備をしたいと考えています。

世界史研究会総会(2018年)

世界史研究会総会の時期になってまいりました。
2018年3月10日土曜に世界史研究会合評会・総会を行います。
大変ご多忙の折とは存じますが、ご都合がつくようでしたらお誘いあわせの上どうぞご参加ください。
どうぞよろしくお願いいたします。

世界史研究会合評会・総会(2018年3月10日土曜14-18時)

会場:早稲田大学早稲田キャンパス16号館301号室

1.世界史研究論叢第7号合評会

『世界史研究論叢』第7号、世界史研究会、2017年10月発行

〈論 考〉
近世イタリア君主国の行政機構による軍隊の管理・統制について
――イタリア戦争末期のフェッラーラ砲兵隊『戦争器材に対する支出簿』の分析から――白幡俊輔 (1)
三王国戦争期王党派ニュースブックにおける「ネーション」と「イングランド人」
――リーア・グリーンフェルドの見解を巡って――小島 望(23)
反革命戦争期の英国における財政請願運動の階層・地域的拡大 板倉孝信(45)

〈研究ノート〉日蓮在世時における布教地域の変遷と教団の形成――宗門説と宗門外の学説で真説に迫る――尾﨑綱賀(66)

<翻訳>『国家盛衰原因論』(1588年)――献辞と第一巻――G・ボテーロ、石黒盛久訳(81)

<エッセイ>木崎良平著『「ルーシ」という語の意味に関する歴史的一考察』を読む――立正大学西洋史研究会創立40周年記念――石塚正英(97)
<資料復刻>『《中等教員・高等教員》文檢 西洋史((系統的))研究法』大同館蔵版 酒井三郎(102)

<書評>安松みゆき『ナチス・ドイツと〈帝国〉日本美術――歴史から消された展覧会――』清水雅大(106)

〈彙 報〉(109)


2.報告・論説の解説(各20分程度)
白幡俊輔氏、小島望氏、板倉孝信氏、尾崎綱賀氏、石塚正英氏
3.総会(世界史研究会第8号準備状況、理事・事務局改編について、会計・予算)

※総会ののち懇親会を予定しております。居酒屋「金の鈴」、会費3000円程度を予定。

https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13006174/dtlmap/

戦史、国防史、軍事史、戦争史

キューネ、ツィーマン『軍事史とは何か』は軍事史概念をきちんと把握するうえで非常に有益な本なのですが、とくに戦史、国防史、軍事史、戦争史という似て非なる用語を区別して理解するうえでも多くの示唆を与えてくれる著作です。

具体的な内容は本書を読んでもらうにしろ、軍内部の歴史解釈が中心の「戦史」、ナチ時代の影響を強く引き継いだ「国防史」、そしてドイツ語においては新しい戦争を歴史的な解釈のなかで扱う用語としての「軍事史」(これは狭義であれ、広義であれ、旧来の戦史の視野狭窄とは別の観点で論じられている点に特徴があります)、そして「戦史」と同じKriegsgeschichteという単語は用いるけれども、戦争にかかわる歴史を総体として把握しようという意図がはっきり見られ、「軍事史」と非常に近似する「戦争史」という用語があります。

このような用語の並列がなされているのが、『軍事史とは何か』のひとつの特徴ではありますが、個別の論文のなかで実は定義するところに若干の違いがあり、明確な定義が全体としては完全になされていない点も注意しなくてはなりません。ただし、その一方で上記に書いたような違いも意識されているということは忘れてはならないでしょう。

キューネ、ツィーマン編著『軍事史とは何か』要約その2

第十章 軍需産業と戦時経済
ステファニー・ヴァン・デ・ケルクホーフ(新谷卓訳)
近年メンタリティ、文化、そしてジェンダーに関わる歴史テーマは、軍事史および戦争史においても注目を浴びている。だが一方で、軍隊の物資面での装備、経済面から見た動員、戦時財政、そして戦時経済といった重要な経済的なテーマが疎かになっている。本章では、文化史と経済史との間を橋渡しする新たな軍事史、戦争史の模索の必要性を説いている。

第十一章 機械化された軍隊―――ある共生関係に関する方法論的考察
シュテファン・カウフマン(齋藤正樹訳)
 軍隊と技術の問題は密接不可分であるにもかかわらず、学術的な分析に基づく研究は遅れていた。従来の戦略、戦術、軍備の歴史は、軍隊、戦争、技術の結びつきの「共生」関係を十分に解き明かすものではない。技術の 発展は社会と密接に結びついており、コミュニケーション、メディア、組織、そして行為者が織りなすネットワークとの関連性のなかで考察されるべき存在である。

第十二章 ディスクールと実践――文化史としての軍事史
アンネ・リップ(新谷卓訳)
歴史学で現在話題になっている理論的議論は、歴史研究を文化的に補強しようとする試みである。このことは軍事史にとりどのような結果をもたらすのが、従来の研究成果の上に文化史として軍事史が構築されうるのか、そして最終的に戦争の文化史を担うことになるのかが検討される。比較的最近の研究をてがかりに、文化史に方向づけられた軍事史の成果が示される。

第十三章 戦争と軍隊のジェンダーについて――新たな議論に関する研究の見通しと考察
クリスタ・ヘメルレ(今井宏昌訳)
ジェンダーという分析カテゴリーを用いて、軍事史は新しい観点で検討することができる。「兵士としての男性」と「平和的な女性」という分類がどのように歴史的に作られていったのか、あるいはその束縛からどのようにして抜け出していくのかが論じられている。また、第一次世界大戦での女性従軍看護婦の経験の位置づけや、戦時における女性に対する性暴力の問題についても言及されている。後者については、一般市民、特に女性と子どもの犠牲者数が急激に増大するなかで、「産業的」、「総合的」、「超越的」な戦争の帰結として、占領地での数多くの「戦時の残虐行為」のなかにあったことが指摘されている。

第十四章 『戦争論』――現代軍事史についての考察
シュティーク・フェルスター(鈴木健雄訳)
 軍事史に関する多彩な方法論が試みられている今日、軍事史歴史学における固有の分野としての地位を築く上で、理論上の共通基盤について検討することが必要であり、クラウゼヴィッツが大きな役割を果たす。クラウゼヴィッツは、現実の戦争の特徴が政治的条件によって規定されていると考えたが、その学問的手法を確認することで初めて、軍事史叙述は社会史としての方向性を備え、現代の歴史学に対し貢献を果たすことができる。

第十五章 社会のなかの軍隊――近世における新しい軍事史の視点
ベルンハルト・R・クレーナー(斉藤恵太訳)
ドイツの「新しい軍事史」を牽引してきた著者クレーナーが、近世(1500~1800年頃)を対象とする軍事史について、兵隊の生活や駐屯都市、兵隊の家族、兵隊になる層としての貧民や犯罪者、さらに図像や文学など、国家や制度という旧来の枠を超えた様々な視点が持つ可能性を論じる。

第十六章 総力戦争時代における全体史としての軍事史
ロジャー・チカリング(柳原 伸洋訳)
 軍事史を全体的な歴史として理解するにはどうしたらよいか。19世紀から現代にいたる歴史学、社会科学の研究を前提に、戦争を全体像としてどのように認識していくのかという問題が検討される。とりわけ、総力戦は全体史を必要としており、極めて広範な社会状況、歴史的状況を検討しつつも戦争について論じていく必要がある。

第十七章 ドイツにおける軍事史の展開に関する覚書
ヴィルヘルム・ダイスト(伊藤 智央訳)
軍事史歴史学の一領域と捉える考えが1960年代末以降一般的となっていき、一般的な歴史学の問題意識や研究手法を取り入れることで、軍事史はそのテーマを多様化させていった。しかし、軍事史にはまだなお歴史学の他領域との連携が必要な部分もあり、新たな視点や史料の開拓が望める余地もある。とはいえ、軍事史は学問の一領域として大学でその地位を固めたと結論づけることができる。

第十八章 市場支配力をめぐる闘いと理論に関するマニ車――新しい軍事史を巡る論争に対する若干のコメント
ディーター・ランゲヴィーシェ(齋藤正樹訳)
 本章は全体のまとめである。ランゲヴィーシェは長らくテュービンゲン大学史学科の教授を務め、ドイツのナショナリズム自由主義の歴史、近代教育史、社会史に関する代表的な研究者である。本書の問題提起を包括的にまとめている。